置くスペースが限られているので、本屋に絵本は新刊しか置いていないと店主の談。ここは絵本だらけ。じっくり自分が欲しい絵本を見つけられそうです。
[吉祥寺経済新聞掲載]
吉祥寺通りの中道通りに2月4日、日本と外国の絵本と旅で見つけた雑貨を販売する「あぷりこっとつりー」(武蔵野市吉祥寺本町4、TEL 0422-27-6407)が裏原宿(渋谷区)から移転してリニューアルオープンする。
店主の藤原優さんが医療周辺関係の仕事を続けながら、2013(平成)年6月に土曜・日曜営業でオープンした当店。親族が住んでいる一軒家の空いていた2階で始めたが、藤原さん所有となった家が老朽化のため、近隣住民から土地を譲ってほしいとの申し出に応じて売却を決めた。コロナ禍では「裏原から人影が全く消え、観光客がいなくなって、来店客数がほぼゼロに落ち込み店を続ける張り合いを失った」が、移転して続ける道を選んだという。
裏原宿への来店客は、「近くにギャラリーがあったので、美術を学ぶ学生さんやイラストレーター、南アフリカやチリから来た外国人、ひとりで来て話していく60代のおじさんたちがいた」と藤原さん。店に合う移転先を探して自由が丘や鎌倉を見て回るなか、三鷹の高校に通っていた妻の峰子さんの勧めで吉祥寺を訪ね、中道通り商店街を歩いたところ「一目ぼれ」。ダメ元で地元の不動産屋に飛び込んだところ、たまたま今回の物件が空くことを知り、「この商店街に自分の店があったらピッタリ」と即決した。
店は峰子さんとの共同運営。店内のディスプレーなどを取り仕切る空間プロデューサーを務める峰子さんは「店長2号」。店名は藤原さんが3、4歳のころに過ごした家の裏庭にあったのがアンズの木だったことから付けた。竹下通りで、東郷神社の境内と土手とで地続きの裏庭は「冒険への入り口」だった。「ワンダーランドのワクワク」を大切にしたいと思い名付けたという。
店舗面積は39平方メートル。絵本は日本のもので新刊約1,200冊、古本約400冊、外国のもので新刊約150冊、古本約150冊を並べる。「話も絵も柔らかくて温かい」という「こんとあき」、愛犬との死別をつづった「最後のおさんぽ」、文章がなく絵だけの本「アライバル」など。ボックス棚を設けた壁には、30回ほど出掛けた海外で買い求めた、主にヨーロッパの生活雑貨と装飾品約200点を展示販売する。「特に多いのはドイツのクリスマスシーズンを彩る木工民芸品と木製玩具」と藤原さん。「吉祥寺は子ども連れの来店もありそう」と、フランクフルトのクリスマスマーケットで売っている木製玩具を新たに仕入れた。
元々「リタイア後に世間とつながる居場所を用意しておきたかった」という藤原さんは昨年末、勤めを早めにリタイア。峰子さんも3月に定年退職を迎える。「絵本を手に取る心のゆとりがある、平和で穏やかな環境が好きだから」と吉祥寺で再スタートを切る。
「ここに来たらホッとできると言ってもらえる雰囲気づくりを大事にしていきたい。落ち着いたら椅子を用意するので、絵本を眺めながらゆっくりした時間を過ごしてもらえたら」と来店を呼び掛ける。
営業時間は11時~18時(金曜は14時~)。月曜・火曜定休。
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